11/26(土)「あいちの課題深掘りファンド」2016年度助成事業成果報告会「モチヨリ」 ~大人のひきこもりを支援の隙間から取りこぼさないために~を開催しました。

こんにちは! 事務局スタッフの今福綾乃です。11/26(土)に「あいちの課題深掘りファンド」2016年度助成事業成果報告会「モチヨリ」 ~大人のひきこもりを支援の隙間から取りこぼさないために~を開催しました。

●日時:2016年11月26日(土)14:00~16:30
●会場:一宮青色申告会
●参加者:17名

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最初に話題提供ということで、NPO法人社会復帰支援アウトリーチ 代表理事の林日奈さんから「あいちの課題深掘りファンド」の調査結果について共有していただきました。

その後、ゲストの方々が感じている課題を発表、参加者全員で意見交換をした後、解決策についてそれぞれ提示、話し合いをしました。

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●遠藤修正さん(一宮市社会福祉協議会 職員)
【課題】周知されていないこと
仕事上で権利擁護を担当していた時期、精神障がいの方が中にいらっしゃることがありましたが、一般的に社会に知られていないと感じています。
【解決策】他人ごとを自分ごととして捉えませんか?
社協の立場でさまざまな人を巻き込み、発信していきます。まずは職員が関心を持つことからですね。

●落合久子さん(一宮市地域精神障がい者家族会 びわの会 職員)
【課題】家族が不安や困りごとを抱えて生活していること
息子が統合失調症。親として困っていましたが、「その病気のことを学ぶこと」、「保健所へ行き相談したこと」で安心感を得ることができました。半年ほど経つと本人が病院へ行きたがらなくなり、家族は困っています。精神科のお医者さんに自宅に来てほしいと思っています。家族は、ひきこもっていても、どのような障がいがあっても、隠さないで生きてほしい。ひきこもっているには何か理由があるかもしれません。
【解決策】病気(障がい、不登校、ひきこもり)の家族がいることをオープンにすること
家族であってもなかなかできない。当会でも46人中3人ほどしか開示できていないです。そういうことが大事だと誰かが後押しすることが必要です(特に社会的に影響のある方)。この病気のことを知ってほしい。次世代の解決策につながる活動をしたいです。

●鳥井宗徳さん(石のエステサービス 個人事業主/元当事者)
●鳥井照美さん(石のエステサービス 個人事業主/元当事者家族/元不登校の親の会運営)

【課題】不登校児が大人になった今も社会生活ができていないこと
(宗徳さん)中学時代不登校でしたが、その後、大学まで卒業。就職するも、心が不安定になり退職。再就職をしますが、自分で仕事をしてみたいという想いもあり、再び退職。お墓の石を清掃する仕事を始めました。できるだけ人と会わなくてもよい仕事として墓磨きを選び、ひきこもりの方などに仕事提供をしています。手作業で丁寧にやることをウリにしています。こすったり磨いたりするのは心によいと後で知り、この選択は偶然ではなく必然だったのでは?と思っています。
不登校の会にいたときに一緒だった子どもたちに、大人になった今会うと、社会生活ができていない人が多いなと感じています。
(照美さん)娘、息子ともに不登校になり、「不登校の親の会」を発足。「遊ぶこと」でまずは外に出るという活動をしました。その時にいた小学4年生の子が今は27歳に。久々に会うと、小学4年生のときから進んでいない印象でした。これでは社会生活をできない…彼らは将来どうなってしまうのかと心配です。不登校児は、病気や障がいではないので、親も本人も社会の支援を受けていません。これから当社で一緒に成長していきたいと感じました。
【解決策】
(宗徳さん)当事者だけでなく、家族も巻き込むこと
年単位の覚悟が必要だと思いました。考えを変えることが大事では?と思います。家族と一緒に頑張ることが必要だと思います。
(照美さん)勇気を持って開示し、つながること
当時はスクールカウンセラーがいるわけではなく、「親のしつけ」で片づけられてしまう時代。勇気をもって友人に話すと、他の同じ環境の人とつながり、話すことができました。同じ境遇の人たちと話すってすごく楽になる…他にももっといるのでは?と思います。近くから声をかけ、つながることで解決策がどんどん出てくるのではないかと思います。

●三桶裕嗣さん(NPO法人自立と共生をめざす会 もやい 職員)
【課題】障がいがある方は、支援があっても情報を引き寄せることが難しい
大人になってから精神疾患と診断されました。発達障がいの方を対象に就労支援(うどん屋)をしています。
当事者は、「ネット上でつながっているし、ひきこもりではない。」と言います。
そもそも、一体どういうあり方がよいのでしょう?(本人の問題なのか?社会の問題なのか?)
障がいがある方は、支援はあっても情報を引き寄せることが難しい。
【解決策】安心してオープンにできる環境をつくり、オープンにすることで支援の手が届くようにする
社会から心を閉ざしている人をクローズにしない、オープンにする。親も本人もそれを認める。解決策はあるから、本人が問題や課題を開示すること。それを安心してできる環境をつくってあげることが必要だと思います。

●林日奈さん(NPO法人社会復帰支援アウトリーチ 代表理事)
【解決策】今日参加された方だけでも「ネットワークがある」、「仕事を提供できる」、「当事者(家族)としての声」など、それぞれの資源を持っていて、今はそれが点の状態です。点である資源をつないで線へ、そして面に、それが重なって層となる。そういう地域・社会が、開示しても大丈夫だと安心できる地域・社会になると確信しています。1つの団体(資源)だけで取り組まず、複数の団体(資源)で挑んでいく。ひきこもりの方がどうやったら社会に貢献できるかを考え、地域の足りないところをうまくマッチングし、デザインしていくことの大切さを感じたし、一宮市でその実現を目指したい。

終始和やかな雰囲気で、一般参加の方も交え、みなさん活発に意見交換されていました。
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【他、参加者のご意見】
・難しいテーマだと感じた。当事者がこれまで積み重ねた環境があり、相談室の中だけでは何も解決しない。彼らが自立するためには本人が動くことが大事。(若者の就労支援団体 代表)
・仕事柄、後見人を受け持っている(高齢者、精神・知的障がい者)。一般的なことはわかっているつもりだが、今回のテーマは障がいと診断を受けていない方が対象のため、自分が関わっている人たちとは違う。狭間で救いが必要であることは感じているが、ひきこもりの方は情報格差があるのでは?ネット使える人はよいが…。新聞やネットを使い、ひきこもりの支援や課題をもっと情報拡散していくとよいのでは。(行政書士)
・中間支援の立場としては点から線、面とする…そういうのが役割。福祉、医療、保健、経済、いろいろな視点があるので、完全一致では話せないだろうなと思う。間に入りつなぐこと、最初の入り口にはなれるのでは。つなぐ活動をすることを団体が担うと、スタッフが本来の仕事に注力できない。そこを支援センターの役割としてできるとよいなと思う。中間支援はつなぐだけではなく、コーディネート・プロデュースも担います。(市民活動センター 主任)
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私も、これから一宮市の大人のひきこもり支援がどうなっていくのか、期待を込めて見守っていきたいと思います。