【ミエルカ2016/代表者の志インタビュー】土肥りささん(NPO法人PakaPaka:「真如苑」コース)

「助成先が志を語るドネーションパーティ!」ではNPO法人PakaPakaの土肥りささんがスピーチをしてくれました。土肥さんが語った発達障がい児の家族支援への“志”をお聴きになりたい方は、ぜひ、下記動画をご覧ください。

発達障がいの子どもを抱える親の気持ちを聴いてほしかった

愛知県美浜町で結婚し、2人の子どもに恵まれました。しかし、長男は2歳になってもコミュニケーションが取れず、不安を抱えながら子育てをしていました。保健センターの人に相談しても子どもへの助言が主で、自分の気持ちを聴いてくれるわけではありませんでした。かつて福祉の仕事に関わっていました。それなのに子育てがうまくいかず、自信がなくなり、殻に閉じこもっていました。

長男は3歳児検診を経て、常滑市の療育園へ通うようになりました。園長さんが「まずはあなたのストレスを解消しなさい」と声をかけてくれました。その後、武豊町にある療育の専門性を持った療育園「あおぞら園」に移ることができました。あおぞら園では、親たちと先生が日々の悩みなどを相談する時間がありました。そこで親同士のつながりができました。同じ経験をしている親との交流で安心し、武豊町に引っ越すくらい、そこが居場所になりました。これが今の活動の原点です。

発達障がい児の親同士のつながりが不足している

私と夫の両親は、愛知県外に住んでいます。長男が療育園に通い始めるまでは周りに頼れる人が少なく、毎日があっという間に過ぎました。当時どうやってご飯をつくっていたのか、思い出すことができないほどです。周りに頼れる人がいれば、少しは落ち着いた日々を過ごせたかもしれません。

私の子どもは療育園を卒園し、支援学校に進みました。支援学校ではなく通常の学校に進んだ他の家族は、親同士のつながりが弱くなり、子どもが療育園に行っていたことを周りに話せずにいる方もいました。相談する場所もなく、悩みを抱え込んでいる様子でした。

PakaPakaは福祉関係の仕事をしていた代表がABA(応用行動分析)を学び、2011年に任意団体からスタートしました。これまでの経験から、発達障がい児の個別・集団療育をすることに加えて、発達障がい児の家族が悩みを相談できる場をつくることが必要だと思いました。最初はランチ会やアロマ会など、お母さんが興味を持ちそうなイベントを通して交流を深めていました。

当事者が当事者を支え、地域で子どもを育てたい

イベントを続けるうちに、ただ集まってしゃべるだけではなく、困っている人の悩みに寄り添う場をつくりたいと思うようになりました。まずは、知多南部の3町で発達障がい児の親が抱える課題を調査しました。「子どもの就学前に困ったこと」として最も多く挙がった回答は「情報がないこと」であり、「求める相談場所」としては「同じ経験をした親がいる場所」という回答が目立ちました。

発達障がい児の子育てを経験した親「ピアサポーター」が、現在子育てをしている親の悩みを聞くサロンを実験的に開催しました。ピアサポーターとして参加したあるお母さんは「この活動は私たち先輩親の大切な恩送りの場である」と話してくださり、胸が熱くなりました。

みなさまの“志金”によって、同じ経験をした親と現在悩んでいる親がつながる場を継続的につくり、地域で発達障がい児を育てることができます。将来的には他地域にもサロンを広げる予定です。当事者が当事者を支えるしくみを一緒につくりませんか?

「取材したフレンドレイザーの声」坪井美佑紀さん

土肥さんはインタビュー当日も息子さんのお迎えなどでバタバタしていました。発達障がい児の子育てに戸惑い、悩みをひとりで抱えていた頃は、子育て未経験の自分には想像もできないくらい大変だったのだろうと思いました。

インタビュー中、土肥さんが武豊町で相談できる「居場所」ができたと語ったとき、土肥さんの表情が明るくなったように見えました。改めて、親や家族がほっとできる場所が必要だと感じました。同じ経験をした先輩親の話は、今悩んでいる親にとってたとえどんなに小さなことでも心強いと思います。悩める親や家族の「居場所」が多くできれば、安心して自分たちの地域で暮らしていけるのではないでしょうか。

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