「NDS感動基金」2014年度助成事業報告

●事業名:赤ちゃん先生プロジェクト
・団体名:NPO法人ママの働き方応援隊
・助成金額:198,000円
※解決に挑んだ【地域課題】と【その解決策】は、下記をご参照ください。
【地域課題】 愛知県の小・中学校のいじめの認知件数は7,900件(2011年度)
【解決策】 赤ちゃん先生プロジェクト

【助成事業に取り組む中で、最も感動的なストーリー】
今回の助成事業で、当団体のメンバーの母校となる開催がありました。2歳の次女とともに参加することとなりました。

【NDS2014】ママの働き方応援隊活動写真(1)

開催前から、自分が着ていた制服を着た生徒に囲まれることで、「自分が高校生の時に赤ちゃん先生の授業を受けていたらどんな気持ちだろう」「自分がいざ出産、育児するときには、その時の授業をどんなふうに思い出すのだろう」とわくわくした気持ちでした。開催時は卒業生ということから親密感も増し、和やかな場となりました。その中で、「自分も将来、(あなたみたいな)母親になりたい」と感想を述べてくれる生徒がいました。母親である自分が母校の後輩を身近に感じたように、母校の生徒も育児中の母親に対して身近に感じてくれたことをうれしく思いました。一方で、「楽しかった」「かわいかった」などの感想ばかりだと、育児の大変さなどを伝え切れなかったのではないかと反省しました。また、「自分は将来産みたくない」という感想には、それを踏まえてもっと伝えることはなかったかと考えさせられました。振り返ると、どんな感想でも、高校生との距離を縮めたいと思っている自分に気づきました。普段の生活では考えられないことで、自分の子である赤ちゃんが気づかせてくれた縁を感じ、人と接することによって得られるものを改めて感じました。

仕事もしているので、育児と仕事の両立が忙しく、活動をやめようと思ったことがありました。育児中はいろいろ言い訳をつけて、「今は忙しいから」と言ってしまいがちです。けれども、そんな忙しい自分だからこそ伝えることはたくさんあるのではないかと、開催することで、それを再認識することとなりました。

【NDS2014】ママの働き方応援隊(2)

そして、開催日の朝、小学4年生の長女は「私も赤ちゃん先生の授業受けてみたいな。ママと一緒の学校に進学すれば受けられるのかな」と言われ、娘が高校生になってこの授業を受けたら…。そんな想像もすることができました。母校という身近な教育機関での開催が、母親である私の中にさまざまな影響を及ぼしてくれました。

●事業名:地域で支える特別支援教育
・団体名:NPO法人こどもサポートクラブ東海
・助成金額:355,333円
※解決に挑んだ【地域課題】と【その解決策】は、下記をご参照ください。
【地域課題】 特別支援の必要な児童生徒の割合約6.5%(2012年)
【解決策】 地域で支える特別支援教育

【助成事業に取り組む中で、最も感動的なストーリー】
11月のある日、支援学級の合同体育のときにしか接点のない高学年の女の子から、「私ね、先生のこと好きだよ」と言われました。ほとんど話すこともなかった子からの言葉に、あたたかい気持ちになりました。何も手助けできていないと思っていたのに、いることだけで何かを感じてくれていたことが励みになりました。

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※写真は、発達障がいの子どもたちが空間認識を遊びながら訓練できるおもちゃを、自分たちで作成したものです。

●事業名:子どもとアーティストの出会い
・団体名:NPO法人アスクネット
・助成金額:146,667円
※解決に挑んだ【地域課題】と【その解決策】は、下記をご参照ください。
【地域課題】 愛知県の就学状況が不明な外国籍の義務教育年齢者数5,390人(2011年度)
【解決策】 子どもとアーティストの出会い

【助成事業に取り組む中で、最も感動的なストーリー】
実施校は外国籍や夜の仕事をしている保護者が多い地域であり、児童は講座中にけんかを始めたり、講師や大人に甘えたり、始終ふざけていたり、整列するのに15分かかったりと、他校と比べ授業を進行することが難しい状況でありました。

その状況下で一番授業態度が悪かった児童がいました。その児童はゲームの勝ち負けにとてもこだわり、勝った場合は相手に暴言をはき、負けていたらゲームを崩壊させるような態度を見せていました。カルタ遊びや制作活動も難しく、他の児童にも迷惑をかける様子でした。学校に聞くと、参加児童の中でも一番やんちゃで対応に頭を抱えているとのこと。

1回目の講座終了後に、プロジェクトメンバー同士で、児童の対応について考えました。結果、その児童とアーティストをたくさん触れ合わせ、彼の意見を尊重しながら、エネルギーを創作活動に向けるよう意識して対応しました。すると、4回目の講座あたりから、児童はアーティストの名前を呼び、一緒に創作活動をするようになりました。暴言を発することも少なくなり、自分が作りたいものをアーティストの手助けを得ながら、活動をプログラムの最後まで続けることができました。その後、どんどん大人に心を開いて一緒に遊び、話し、関係を築きながら楽しく過ごすことができました。

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講座の最終日に保護者から「1月からは違う学校に通うので、子どもは最後にいい思い出になったと思います。ありがとうございました。」と話しかけられました。運営スタッフとの振り返りにて、「保護者は単身で、その関係で違う学校に転校してしまうそうです。彼もさみしい思いをしているから、他の児童に攻撃的になったり、授業を放棄して大人にかまってほしかったのだと思います。今回の創作活動が、彼の気持ちを少し和らげ、保護者以外の大人に心を許すいい機会になったと思います。」という話が出ました。

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アーティストによる講座やものづくりを通じて、児童は自分の気持ちや想いを作品に込め、大人と一緒に作品を作り上げることで、普段、学校では見せられない自分を見せたり、新しい挑戦をする機会となったはずです。このような機会が社会や地域、そして大人に愛着を持つことのきっかけになるのでは、と確信する事業となりました。