【深掘りしたい地域や社会の課題】NPO法人名古屋ろう国際センター

申請事業名:外国人聴覚障害者、日本語教室を必要とする聴覚障害児数調査
申請団体名:NPO法人名古屋ろう国際センター

(1)Skypeを利用しての日本語教室に参加する台湾人ろう者

名古屋ろう1
遠方で教室の通うことが難しい人のためにskypeを利用した日本語教室を開催している。静岡在住のある外国人ろう者は、結婚のために来日した。日本での生活は初めてのことばかりで、読み書きはもちろん、手紙の出し方や住所の読み方など、わからないことだらけだった。地域の障害者協会で支援をしてもらえないかとお願いしたが、前例がないことを理由に断られた。ご主人の知り合いの手話通訳者が、当団体を知っていたため、連絡が入り、初級の日本語を教えることになった。

(2)日本人ろう者2名の日本語教室

名古屋ろう2

日本語教師(右2名)、日本人ろう者(左2名)

同じ日本人でも聴覚障害者の第一言語は手話であるため、日本語の文法、用法、漢字の読みがむずかしいことが多々ある。日本人ろう者にも学ぶ場を提供している。

【深掘りしたい地域や社会の課題】
課題を象徴するあいちの数字:
(1)愛知県内の聞こえる外国人のための日本語教室は約150
(2)聞こえない外国人のための日本語教室は約1

外国人聴覚障害者数の把握、中でも日本語教室を必要としている外国人聴覚障害者数の把握と外国人聴覚障害者に対する当団体の支援内容が合っているかどうか。

日本在住の外国人聴覚障害者が日本で就職しようとしても日本語の読み書きができないために、一般企業への就職が難しい。そのための就労支援A型のような障害者就労施設で働くことも可能だが、収入も5万〜6万と限りがあり、自立した生活とは遠く、ぎりぎりのお金で何とか生活している状況になってしまう。ある夫婦(夫、日本人聴覚障害者、妻、韓国人聴覚障害者)のご主人は「妻と年が離れていて自分の方が先に死んでしまうと思う。この先日本に残される妻が日本で働いて自立した生活ができるように日本語の勉強が欲しい」と話していた。

日本語の壁が取り払われれば、外国人聴覚障害者であっても日本の一般企業に就職でき、聴者と同じような収入があれば、自立も可能ではないかと考え、外国人聴覚障害者に日本語教室を開催している。

しかし、当団体にくる外国人聴覚障害者は、まだ少数で実際にどのくらいの外国人聴覚障害者がいるのかは把握しきれていない。そのため外国人聴覚障害者のところまで当団体の情報が届いているのか、届いているが日本語の勉強を必要としていないのか、もしくは別の支援を必要としているのかなどが把握できていない状態である。

【課題の当事者】
性別:女/年齢:35歳/家族構成:夫、娘2人/性格:おとなしい。自分の意見が言えず、同意してしまうことが多い。/生活シーン:韓国人聴覚障害者。結婚のため、30歳の時、来日。娘が幼稚園からもらってくる通信は日本語のため、読めず未だ苦労している。人でバスや電車を使っての外出は、看板や案内を読むのが難しいため、生活圏内のみ。遠出をするときは、夫が付き添う。外に出ることが少ないため、友人や知人も少なく、1日中家にいることが多い。引きこもりがち。/総数:約10人(東海3県)

【課題が起こる原因の仮説】
日本語が読めないうえに聞こえないことが第一の壁になっている。聞こえる人と同じ日本語教室へ行っても、第一言語である手話での教授がなく理解に限界があり、途中で学習を辞めてしまう。

配偶者や子供がいる場合、手助けがあるため、日本語の学習がなくても、そこまでの不自由さを感じることがなく、学習意欲が低下する。