2012年の日本の合計特殊出生率(以下、出生率)は1.41。欧米諸国と比べても低水準で、少子化問題への対策が急務となっている一方、「少子化は避けられない」との声も上がっています。しかし、フランスやスウェーデンのように、一度は出生率が1.5以下まで低下したものの、そこから約2.0まで回復した国もあります。海外では解決しつつある問題が、日本では解決の糸口すらつかめていません。その理由の一つに、予算や政策の整備体制が挙げられます。
少子高齢化により、高齢者の社会保障にかかる財政負担が大きくなりました。一方で、子育ては依然として家族が担うべきという価値観が根強く、十分な予算が充当されていません。その結果、社会保障給付費の構成比で高齢者が46.9%に対し、子どもが4.2%(2005年度)。予算比は11:1となっています。
社会で支えられるべき子どもたちを支援する取り組みがもっと増えれば、子育てをしやすい環境が生まれ、子どもたちの可能性を育む機会にあふれた地域になっていきます。
取組事例(2)プレーパーク
従来の詰め込み教育が限界を迎える中、子どもの“生きる力”を育む場所として「プレーパーク」が注目されています。ブランコやシーソーなど、遊び方が制限された遊具ばかりが置かれた従来の公園とは異なり、一見、無秩序に廃材やロープ、遊具、工具を置き、子どもたちの自由な発想で自由な遊びができる環境を整えています。土に水をまき、泥だらけになり、泣いたり、駆け回ったりと力いっぱいに遊ぶ子どもたちの姿に、暗い影はまったく見当たりません。子どもたちに潜在する自発性を生かして、主体的に行動できるよう習慣づけていく契機として、プレーパークの数は少しずつ増えつつあります。
一方で、プレーパークの取り組みに対する認知の足りなさや活動資金のなさゆえ、取り組みたいけど取り組めない現実もあります。子どものための環境を整えたいものの、まだまだその理想には届いていないのが現状です。