なごや子どもとつくる基金 〜自己肯定感の低さ、先進国でもっとも孤独な国〜

Case3
問題(3)自己肯定感の低さ、先進国でもっとも孤独な国

 2007年度の国連児童基金(ユニセフ)が公表した子どもの「幸福度」に関する報告書で、「孤独」だと感じている子どもの割合が最も高かったのは日本。「自分は孤独だ」と感じる15歳の子どもの割合が29.8%で、平均の7.4%をケタ違いに上回り、回答のあった24ヶ国中トップ。ほぼ3人に1人が感じていることになります。

 不況のせいか、親の長時間労働や共働き家庭も珍しくありません。子どもたちも、受験勉強や習い事に追われています。休みの日に家族が揃うことも少なく、長期休暇でも一緒に過ごすことがない。親子が関係を深めるための時間がありません。

 子どもの自己肯定力を育むには、親が子どもを無条件で認めることが必要です。しかし、学校や塾では偏差値で判断され、少子化で子どもへの親の期待値が高まる中で、「よい成績をとらなきゃダメ!」などの“ダメダメしつけ”や、「どうしてできないの?」といった否定的育児になりやすい現状があります。親子が関係を深め、一緒にいられる時間と居場所をつくる。そんな毎日が、自己肯定感にあふれた子どもたちを養います。

 

取組事例(3)子ども会議

 子ども会議は、「子どもの権利条約」21条に記載された【子どもの意見表明権】を受けて、各地で開催されるようになりました。小学生から高校生までのさまざまな年代の子どもが一堂に会して、地域や社会課題の問題について各人が考えを述べ、さまざまな世代とも触れ合える機会となっています。

 近年、住民参加型の「自治」の重要性が提起されており、子どもたちには早い時期から自分たちの地域の問題に関心を持ち、将来その解決に取り組むための契機ともなっています。

 大学生や大人がその司会や進行を行うこともありますが、主役は子どもです。学校の成績や進学先で優劣が決まらず、一人ひとりの意見を大事にくみ取り、対話を重ねることで仲間意識や認め合える関係が生まれます。他の人から認められる経験の積み重ねによって、自分を肯定できる子どもたちが増えています。

 一方で、子ども会議の取り組みへの認識は不足しており、子どものための機会が限定的な現状は否めません。子どもが自分で育とうとする力を邪魔しないためには、周囲の大人の肯定的な育児のスキルが必要になってきますが、そのスキルを身につけるための支援も足りていません。