なごや子どもとつくる基金 〜児童虐待の相談対応件数の推移〜

131016 寄付パンフ(Case1)
問題(1) 児童虐待の相談対応件数の推移

 2012年度に名古屋市の児童相談所における児童虐待相談対応件数は1,532件。1日あたり約4件、およそ6時間に1件のペースです。子どもの人口が減る一方で、2012年度の件数は過去最多でした。しかも、この数字は通告があった氷山の一角で、実際にはさらに多くの虐待が行われ、そこには子どもの悲鳴が存在しています。

 児童虐待の原因としては育児ストレス、親としての重圧、育児をする孤立感などが挙げられます。孤立した親が誰にも相談できずに苦しみ続け、追い詰められて子どもに手を出し、児童虐待につながっています。子育てが「孤育て」と言われるほど、窮地に追い込まれてしまった親の悲鳴も少なくありません。近年、行政の積極的な介入が求められているものの、法整備も含めて行政には限界があります。

 また、家庭内の問題に行政が立ち入ることへの抵抗感も根強く存在しています。
子どもも親も悲鳴なく、誰もが子育てしやすい環境は、いつになったら訪れるのでしょうか。

 

取組事例(1)親子が集えるひろばづくり

 名古屋市では「なごやつどいの広場事業」として、子育て家庭の問題解決に取り組むNPOなどに、運営費の一部を助成しています。この資金的な支援の結果、NPOなどの活動の幅は広がりました。子ども連れでも気軽に立ち寄れる場所が生まれ、子育てに関する情報を提供するなど、親子の孤立を防ぐ役割を果たしています。

 一方、こうした救いの手が届かない人たちの存在を忘れてはいけません。少子化や核家族化、地域のつながりの希薄化により、孤立する子育て家庭は後を絶ちません。赤ちゃんに一度も触れたことがないまま親となり、伝承されるべき子育てのノウハウが受け継がれず、あふれるネット情報に振り回されてしまいます。わからないことがあっても誰に頼っていいのかわからず、マンションの一室で子育てに煮詰まってしまった結果、虐待につながってしまうことがあります。

 こうした「声なき悲鳴」を聴き取るためにも、ベビーカーを押して歩いていける範囲で親子が気軽に集える居場所をつくろうと、子育て支援NPOなどが各地で奮闘しています。