「助成先が志を語るドネーションパーティ!」ではNPO法人リネーブル・若者セーフティネットの荒川陽子さんがスピーチをしてくれました。荒川さんが語った発達障がいグレーゾーンの若者の課題と“志”をお聴きになりたい方は、ぜひ、下記動画をご覧ください。
人は一人では生きられない
愛知県内の製造業で子育てをしながら10年勤務し、主人の海外赴任に同行するため退職。帰国後はPTAや子ども会の役員をするなど母親業を満喫しました。その後、20代に取得した産業カウンセラーの資格を生かしてキャリアコンサルタントの資格を取得し、地域の若者就労相談のボランティアを始めました。今から7年前のことです。そこで私は「健康そうで働けそうなのに、働きたくても働けない、働き続けることができない若者たち」がたくさんいることを知り、衝撃を受けました。
若者の就労相談の仕事と並行して企業内でのキャリア相談、愛知県が実施する地域人材育成事業に携わりました。その活動を通して「さまざまな困難を抱える若者」が世の中にたくさんいて、彼らは働く意欲はあるのに早期離職を繰り返し、うつ病などを発症、ひきこもってしまう…。そのような現状に気づきました。
2014年に仕事で知り合った仲間とともに、「彼らがホッとできる居場所をつくろう」「人は一人では生きていられない」「誰かとつながっていたいんだ」という想いから「川の会」を立ち上げました。2016年には週2日の居場所を開き、相談などの支援体制を整えるため、当団体を設立しました。
大学生の娘から「お母さんはなぜこの仕事をしているの?」と訊かれたことがあります。その時に「一人でも多くの若者が働くことで、税金を納めることができ、経済が回っていく。それが大切なあなたたちのためになるから」と伝えました。「子どもたちが生きる未来のため」。これが私の仕事に対するモチベーションです。
発達障がいグレーゾーンの人は、社会に出ると生きづらい壁にぶつかる
働きたくても働き続けることができずに悩む若者の中には、発達障がいグレーゾーンの若者(発達障がいの傾向が強い若者)がいるのでは…と考えます。グレーゾーンとは、言葉の通り白黒はっきりしないこと。彼らは能力の凹凸が大きく、仕事を覚えるのに時間がかかるなど、社会の中で生きづらい壁にぶつかります。しかし、公的に存在しているのは「障害者」か「一般」向けの就労支援しかなく、彼らはどちらにも当てはまらないため、孤立しています。
発達障がいグレーゾーンの若者を支えるためには、「発達障がい」にくわしい心療内科と連携して、一人ひとりの課題や状況に合った方法で寄り添うことが必要です。また、失敗経験が多く、自己肯定感も低いため、まずは安心して過ごせ、人とつながりながら自信がつけられる居場所が必要です。団体ができたのが2016年7月、今少しずつ足場を固めている段階です。
地域の力を結集して、若者の楽しいこと、おもしろいことをつくっていきたい!
私は一人でも多くの若者が「つらいこともあるけれど、楽しいこともある」と思えるようなサポートをしたいと考えています。しかし、私たち団体の力だけではできません。地域の人びとの支えがあってこそできると思います。地域のカフェの店長から「居場所でコミュニティカフェをつくらない?」などのお声がけもいただいています。地域の力を結集して、若者の楽しいこと、おもしろいことを一緒につくっていきませんか?
「リネーブル」はlien(絆:フランス語)、enable(可能な:英語)の造語で、「人と人との絆があればなんでも可能になる」との想いから名づけました。そんな絆が築ける社会をつくりたい。子どもたちが生きる未来のために、私たち大人が動けるところから動いていかなきゃ! と思っています。
「取材したフレンドレイザーの声」松田悠さん(コーディネーター/ライター)
人と地域がつながることで解決できることは本当に多くあると思うのです。まずは団体が「発達障がいグレーゾーンの若者のための就労支援をして、社会を変えたい」というその想いを持ったこと、そして一歩踏み出したことに強く敬意を示したいと思います。
私の周りの人に団体の活動を話したら、「私も子どもが発達障がいグレーゾーンなんです」と話してくれる友人がいました。以前から少しは知っていたけれど、深く話すことはなかったこの話を、友人と深く深く語りました。みなさんの周りにも「仕事が少し遅いな」と感じる人はいないでしょうか? その人は発達障がいグレーゾーンで悩んでいるかもしれません。遠い話ではない、身近な話だとみなさんに感じてもらい、みなさんとも絆を築きたいです。
NPO法人リネーブル・若者セーフティネットの事業指定プログラム「ミエルカ」2016仕事に定着できず悩む発達障がいグレーゾーンの若者のための居場所づくりを寄付で応援したい方はこちらからどうそ!