【ミエルカ2015/代表者の志インタビュー】横井聡美さん(NPO法人パンジー)

横井聡美さんが「助成先が志を語るドネーションパーティ!」で語った“志”をお聴きになりたい方は、ぜひ、下記動画をご覧ください。

脳性麻痺の子どもを抱えて歩んできたこと。くやしい思いのくりかえし。

生後3日目に熱性痙攣を起こした娘は将来障がいが残ると宣告され、自力で母乳が吸えなければ一生、経管栄養になると言われました。何ヶ月経っても首も据わらない娘を連れて、訓練や病院に通うのに疲れ果て、独学で訓練を学び、自宅で運動・知性・生理面でのトレーニングを始めました。

「集団」と「学校行事」を体験させるため、養護学校にも通い始めました。2年生になり、勉強を教えてほしいと学校に申し出ると、ある先生から「手が使えない子は字が覚えられない」と言われ、激しい憤りを感じました。学ぶことを否定され、成長するすべての可能性を否定された気がしたからです。それでもあきらめずに自宅でさまざまな訓練を続けてきました。

そのひとつが「感覚統合プログラム」です。その効果によって身体の軸が整い、視線が定まることから、字を覚え、本を読み、合図やパソコンを使って、娘は意志を伝えることができるようになりました。さらにスポーツや手芸を楽しむまでに成長しています。

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障がいをもつ子どもたちも意思や可能性を持っている。

体に重い障がいをもつ子どもたちは、ウキウキと楽しい気持ちでいるときも、体が動かず、声が出ず、外へ発信することができないので、周りから見ると何も意志がないように見られてしまいます。でも、他の子と同じように見たり、聞いたり、考えたり、感じたりしているのです。

これまで実践してきた「感覚統合プログラム」の結果、娘の視野はどんどん外の世界へと広がっていきました。児童会長を務めたり、地域交流にも積極的に参加。彼女は行く先ざきで会う人に驚きを与え、障がい児のイメージを変えてきました。

障がいがあっても自分のやりたいことはある。心は成長し、知能も高まっていることを、周囲にいる人たちにもわかってほしい。一人の人間として接してほしい。そして、この地域だけでなく、もっと多くの人たちにこの効果を伝え、実践してもらいたい。普通の子どものように跳ねたり、走ったり、転がったりすることができない障がい児にも同じ感覚を経験させ、脳や体を育てるのが「感覚統合」なのです。

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小さいうちから感覚統合プログラムを受けられる場所を尾張西部に!

20年前に1人で始めた訓練でしたが、周りの友人も集まってきて、10年前には任意団体での活動となり、2007年には自宅で日中一時支援事業を開始。高等部を卒業した子どもたちには、将来仕事につながるように、手芸やDTP、iPadなどのお稽古ごとも行ってきました。しかし、2012年の法改正を受け、日中一時支援事業は2015年3月で閉じることに。

その後、日中一時を利用していた小中学生の親子から、この地域には他には訓練の場がないので再開してほしいとの要望があり、「感覚統合プログラム」を実施する放課後等ディサービス事業を始めることを決意しました。まずは自宅のそばで開設し、次に支援学校の近くで、と考えています。

この放課後デイが小さな子どもを対象とした「感覚統合プログラム」の場所、大きくなった子どもへの「手芸」などのお稽古ごとの場所、そして、卒業した子どもたちの就労の場所となり、学校の先生や施設関係者、地域の方にも見学に来てもらえる場所になることを目指しています。

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「取材したプロボノの声」山崎恵美子さん(NPO職員)

「お稽古ごと、どこも断られるんです!」。団体設立の経緯を横井さんに尋ねると、まずそう答えられました。子どもがやりたいと思っているのに、身体が動かないから習わせてもらえない。だったら自分でその場所をつくろうと思ったそうです。障がいのあるなしに関わらず、親は子どもの自己実現を願うものです。

子どもの可能性を伸ばしたいと、横井さんが試行錯誤しながら実践され、その有効性を実感している「感覚統合プログラム」。一人でも多くの子どもたちの未来を変えることができるなら、この事業を障がい児に関わるすべての人たちに知ってもらいたいと、切に願います。

いつか、子どもたちが平等に当たり前にやりたいことができる社会になることを信じて―

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NPO法人パンジーの事業指定プログラム「ミエルカ」2015~障がいをもつ子どもたちが地域とともに成長する居場所づくり~を寄付で応援したい方はこちらからどうそ!