「名フィル子どものエール基金」2014年度助成先選考結果

「名フィル子どものエール基金」2014年度助成先選考結果

名フィルロゴ
▼「名フィル子どものエール基金」とは?

名フィル子どものエール基金は、“子どものエール(応援)”により設置されたあいちコミュニティ財団初の冠基金です。名古屋フィルハーモニー交響楽団が、小学校に対して音楽教育のアウトリーチ活動を行うとともに、その小学校の子どもたちが出演するコンサートを開催。コンサートの入場料を利用し、地域の課題解決に挑む市民公益活動団体(NPO)に対し、活動資金が配分されるしくみです。
このプロセスを通して子どもたちによるエールを集め、自団体の組織基盤を強化したい、配分対象となる助成先を募集しました。
募集要項はこちらをご覧ください。
※本基金は、公益財団法人名古屋フィルハーモニー交響楽団が公益財団法人日本財団からの助成を受けて、設置・運営されています。

▼選考委員会 ※★:委員長
・大橋良宣さん(瀬戸信用金庫 執行役員 営業推進部長)
・小田泰久さん(NPO法人楽笑 理事長)
・小野田都さん(名古屋市市民活動推進センター 所長)
・白村陽秀さん(公益社団法人名古屋青年会議所 理事)
★原田正樹さん(日本福祉大学 学長補佐 教授)

▼委員長総評

この基金は、ワクワクするようなしかけが散りばめられている。「名フィル・エール・コンサート」は、寄付文化を醸成し、地域の課題を解決していくことを目的に、子どもたちの活動を中心に展開される。この公演をつくりあげていく過程で、名フィル楽員による本格的な音楽教育があったり、ファンドレイザーによる寄付教育が行われる。当日のコンサートでは、音楽教育の成果として子どもたちも発表する。このコンサートの収益金を団体へ助成するわけだが、そのために各団体は、寄付教育を受けた子どもたちの前でプレゼンテーションをする。子どもたちによって、選ばれた団体への助成金額が決定するのである。

子どもたちの活動を核にしながら、いろいろな活動をする大人たちが自分たちのできることを提供し、みんなで力を合わせて、楽しく地域の課題を解決していくしくみをつくり出そうとしている。まさに「文化」をつくる活動である。

こうした子どものエール基金からの助成を得るのにふさわしい団体を、5名の委員によって選考した。一次審査を通過した7つの団体の中から、「社会課題と申請事業の整合性」、「申請事業の具体性や実現可能性」、「団体・事業・社会に与えるインパクト」、「スケジュール・実施体制・予算の適切性」、「子どもたちに贈りたい夢への共感性」という選考基準を審査し、以下の4団体に決定した。

審査では、この基金の特徴として「子どもたちに贈りたい夢への共感性」ということが大切にされた。自分たちの団体が抱えている課題を解決したい、というのではなく、その取り組みが、これからの地域社会の担い手である子どもたちに、しっかり受け止めてもらえるような事業やメッセージを重視した。また申請上は十分な記載がなかったが、当該の企画に子どもたちの参加や情報発信を加えることを条件に採択された団体もある。

今後は応募する団体側も、この基金の主旨を十分理解して、それに適うような申請内容やプレゼンを準備していただくことが必要かもしれない。また選考委員会のなかでは、大変重要な地域課題の解決に向けた事業であっても、その事業の継続性や発展性がどう考えられているのか。あるいは当該団体だけで取り組んでいることを、もっと他の団体や関係機関と協働する工夫ができないかという意見も多く交わされた。また申請する団体がもっと広がる必要もある、この基金の募集や周知方法にも改善が必要なのではないかという意見も特記しておきたい。

いずれにしても、冒頭に述べたようにこの基金は、よく工夫されたプログラムによってできている。この活動による最大の寄付は、この活動に参加した子どもたちの成長と、彼らが将来、創り出してくれる寄付の文化への投資だと思う。名古屋フィルハーモニー交響楽団はじめ関係団体に敬意を表したい。そして、この基金による活動が、もっともっと広がっていくことを期待したい。

公益財団法人あいちコミュニティ財団
「名フィル子どものエール基金」
2014年度選考委員会
選考委員長
原田正樹

▼申請状況
・応募件数:9事業(申請総額:523万円)
・選考対象数:8事業
・採択件数:4事業

●事業名:子どもと街頭パトロール!
・団体名:NPO法人全国こども福祉センター
・事業拠点:名古屋市中村区
・分野 :子ども・教育
・選考委員の講評:
非行少年等社会で孤立する若者に、社会とつながりを持つことのできる居場所の提供は必要です。同団体は過去400名ほどの社会で孤立する若者に社会とつながりを持つ機会を提供するなど、取組実績も豊富。本助成金の活用についても中川区の相談所に加え、非行少年の多い名駅相談所の新設など、有意義な支出計画であるため選考しました。

●事業名:視覚障がい者の事務職擬似環境
・団体名:名古屋視覚障がい者職業開発委員会
・事業拠点:名古屋市中川区
・分野:働き方
・選考委員の講評:
「子どもたちに絶対にあきらめない心を育む」という想いに強く共感しました。目が見えなくても、夢を見ることを決してあきらめず挑戦する当事者の姿勢は、子どもたちの明るい未来の希望となるだけでなく、社会に強いインパクトを与えていきます。焦らずにたくさんの有識者やステークホルダーとこの希望に満ちあふれた事業をステップアップしていってほしいです。

●事業名:隣人の難民と知り合いになろう
・団体名:NPO法人名古屋難民支援室
・事業拠点:名古屋市中区
・分野 :多文化共生
・選考委員の講評:
日本に保護を求めて逃れてくる難民は年々増加をしており、特に東海地域での増加が目立つ中で、地域の受け皿への啓発事業として申請されました。「お祭り」という手法を用い、地域の参加者を巻き込む中で、無関心を関心、共感につなげ、一人でも多くの方が新たな担い手として活躍し、多文化共生社会に向けての一助となることに期待し、選考しました。

●事業名:障がいの重い子どもの子育ち支援
・団体名:NPO法人ひろがり
・事業拠点:名古屋市中川区
・分野 :障がい者
・選考委員の講評:
「食べること」は生きていくための土台であり、「ふれあうこと」はコミュニケーションの基礎であるというとても重要なことを、私たちが日常生活で気づく機会は少ないかもしれません。懸命にがんばる障がいの重い子どもたちに対する支援が広がり、その姿に大切なことを教えられる人も広がっていくような活動を応援しています。

▼応募事業・団体の概要(応募件数:9事業)

●分野
□子ども・教育:3(33%)
□障がい者:1(11%)
□お年寄り:0(0%)
□多文化共生:1(11%)
□まちづくり:1(11%)
□働き方:1(11%)
□文化・スポーツ・科学:1(11%)
□環境:1(11%)
□NPO支援:0(0%)

●申請総額(523万円)
□1事業あたりの平均申請額:58万円
□申請事業の予算総額:904万円
□1事業あたりの平均予算額:100万円
□助成金利用比率:58%

●種別
□NPO法人:7(78%)
□任意団体:2(22%)

●活動年数
□10年以上:2(22%)
□5年以上~10年未満:1(11%)
□0年以上~5年未満:6(67%)

●有給スタッフ数
□3人以上:2(22%)
□1人~2人:1(11%)
□0人:6(67%)

●年間予算規模(直近決算での経常収入)
□1,000万円以上~5,000万円未満:2(22%)
□500万円以上~1,000万円未満:2(22%)
□100万円以上~500万円未満:2(22%)
□100万円未満:3(34%)

以上