「住友理工あったか未来基金」2017年度助成事業報告

●事業名:再非行防止と複合困難を乗り越える就労自立促進事業
・団体名:NPO法人 再非行防止サポートセンター愛知
・助成金額:500,000円
※解決に挑んだ【地域課題】と【解決策】は、下記をご参照ください。
【地域課題】2016年の愛知県刑法犯少年2,349人
【解決策】複合的に困難があっても乗り越え、就労できる環境を整える

【助成事業に取り組む中で、最も印象的なストーリー】
17才の少年は、児童養護施設出身で保護観察中。製造の住み込み就労を退職することから、住まいがなくなり、名古屋保護観察所に相談し、再サポのホームに暮らすことになりました。やっと安心して暮らせる住まいができたことで、自由を満喫し、就労の意欲を見せることなく毎日が過ぎました。初めは勧められるまま、近くの飲食店のアルバイトに応募したものの、すべて不採用。スタッフからの紹介で協力雇用主の元で働き始めましたが、作業着等購入してもらっても3日間の日払いで豪遊するなど、自立を余儀なくされていても今が楽しければよいという考え方から一向に脱却できませんでした。その後は働くことなく、ホームで昼夜逆転の生活を送っていました。しかし、自由があってもお金がない暮らしは、日にちが経てばつまらなくなります。何もすることがない生活にも飽きてきたころに、30代のひとり親方の会社での就労の話があり、迎えにも来てくれるなど気軽な感じで働き始めました。親方と二人だけで働く環境や、30代の若い社長で話が合うことなどから、仕事が楽しくなり、食事担当のスタッフにも仕事の楽しさを語るようになりました。
社会経験が浅い少年たちは、仕事内容についてほとんど知りません。しかしながら、様々な就労を経験して、その働く環境や人間関係が自分にとって居心地が良いか悪いかで、仕事が継続できるか否かが大きく変わってくるので、できるだけ多くの仕事に触れ、自分にとって居心地のよい仕事場所を実感できる環境づくりを今後も行っていきたいと考えています。

 

●事業名:地域に根差した学力不振の子どもや保護者の拠り所としての学び直し教室
・団体名:NPO法人 アジャスト
・助成金額:652,000円
※解決に挑んだ【地域課題】と【解決策】は、下記をご参照ください。
【地域課題】通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達障がいやその可能性がある児童生徒のなかで、学習面で著しい困難を示す児童生徒は4.5%
【解決策】早い段階で学習につまづいた子どもたちを支える教室をつくり、学校や家庭と連携した支援体制を構築する

【助成事業に取り組む中で、最も印象的なストーリー】
訪問型支援で支援をしていた小学生Aさんは、学校で不適応行動を多く起こしていました。しかし、自宅で行う訪問型支援では不適応行動が少なく、Aさんの実態をすべて把握することは難しい状況がありました。そこで本助成事業のヒアリングによりAさんが通う学校への訪問を行いました。授業を観察することでAさんに関わる課題(他の物が見えると授業に集中することが難しい、授業がスモールステップ化されておらず難しすぎたり易しすぎたりする)が複数見つかり、その課題と今後の支援計画について、担任の先生や保護者と共有しました。また、訪問型支援では不適応行動が起きにくいため、より学校に近い環境である本助成事業の学び直し教室に入室することになりました。学び直し教室では学校と同じ不適応行動が起きることがあり、Aさんに適した環境づくりや学習課題を開発することができています。それを担任の先生や保護者と共有することで、学び直し教室だけでなく、学校や家庭でも、Aさんに適したよりよい環境を作ることができました。3月は学校行事も多く、たくさんの子どもが不安定になる時期ですが、Aさんは比較的落ち着いて過ごすことができており、保護者にも大変喜ばれました。