申請団体名:NPO法人Paka Paka
【課題を共有して巻き込みたい対象者】
(1)知多南部(武豊・美浜・南知多)の発達障がい児にかかわっている支援者
(年代は問わず、特に学齢期の放課後等デイサービスにかかわるスタッフ・相談支援員) 6名
※内訳・・3町には、放課後等デイサービスは当団体含め5団体。各団体1名と、知多南部相談支援センターの相談員1名。
理由:発達障がいの子どもを育てる親の気持ちに寄り添うということは、どこの現場でも難しい課題となっている。もちろん事業所は子どもの支援が中心であり、家族の支援までは行えないのが現状であるため、多くの事業所が連携して課題を共有して一緒に考えていく必要があると考える。
(2)知多南部(武豊・美浜・南知多)の発達障がい児の子どもを持つ両親 50名
理由:子育て中の両親は、子どもの障害があるないにかかわらず、「大変だから助けて」ということが言いにくいことが多くある。「自分が大変」であるということ自体にも気づけていない親も多い。自分自身を振り返り、周りにうまく頼って、親子が笑顔で過ごせる日々を増やすきっかけとなってほしい。また、障がいを持つ子どもの親として、経験してきたことが、若い世代の母親の相談に乗るという経験につなげるきっかけとなり、この事業に協力をお願いできる家族を育てていきたい。
(3)知多南部(武豊・美浜・南知多)の一般の地域住民 10名
理由:療育がいくらうまく進んでも、地域とのつながりがなければ、子どもの将来の安定は望めない。地域の方に発達障がいを抱える子とその家族の現状を知っていただければと思う
【解決策の先行事例】
(1)国のモデル事業を活用したペアレントトレーニング(大府市 平成19年から)
先行事例だと思う理由:行政が主催しており、ソーシャルサポートに繋がりやすく、その後のフォロー体制が確立されている。
【申請事業(課題&先行事例の可視化)終了後に想定する解決策】
発達障がい児の療育環境が地域でまだ根付いていない地域を含む、知多南部3町(武豊・美浜・南知多)を対象に、発達障がい児の家族対象の交流サロンを開設する。発達障がい児の家族は、「困っていること」を具体的に発信できないことが多い。家族がどういった居場所を求めているのか、どういう場所であれば参加しやすいのか、子どもの障がい程度によりどのぐらい参加に向けた意識の差があるかなど、調査結果をもとにニーズの問題解決に向けた交流サロンの開設を目指していく。例えば、武豊町子育て協働ネットワークを通し、託児スタッフを紹介において地域の子育て支援団体と協力する、リフレッシュ企画であれば、様々な分野の講師を派遣してもらうなど、社会資源を多く活用し、地域に密着した実践を行う。サロンのサポートについては、放課後デイ連絡協議会を通し、発達障がい児の両親で協力して頂ける方を募集し、同じ当事者として企画に参加していただき、サロン内での親のサポートに当たって頂く。それにより、事業所スタッフでは引き出しきれないニーズを引き出せるサロンを目指していく。
【課題の可視化による社会的インパクト】
知多南部(武豊・美浜・南知多)でどのぐらい発達障がい児を抱える家族支援が必要だという意識がどの程度あるのかが明確になる。このことは、各地域での発達障がい児支援体制の在り方に影響を及ぼすと考える。
例えば、障害児支援事業所は「子どもを見る場所」であり、「親の支援をする場ではない」と考える支援者意識や固定観念はなかなか変わっていきにくいが、国がこれから家族支援を充実させるという方針を示している中、この重要性を支援者が考えていくきっかけとなるのではないか。発達障がい児支援に関わる支援者の家族支援に対する意識が向上することにより、発達障がい児を抱える家族の相談場所が増え、情報もいきわたりやすくなる。また、地域からの孤立を防ぐことにつながり、療育環境の質の向上につながっていくと考える。
【3年後のありたい姿】
発達障がい児は、場所見知りや人見知りなどこだわりの強さ、多動、コミュニケーション障害などの特性がある。幼少期から定型発達の子どもとはうまく遊べないことが多く、また行動範囲も狭くなりがちであるため孤立しやすい。まずは、発達障がい児とその家族が、地域で安心して過ごせるコミュニティが確立されるべきである。ただ、子どもの支援にあたる専門機関においては、「子どもの支援」に重点をあてるため、「両親の支援」まで手が回らないといった意識も根強くある。これは、専門分野に限らず、一般的な子育てに対する考え方においても、両親に寄り添うこと自体を否定的にとらえる人はとても多い。
当団体が行ってきた家族支援事業においては、初めて参加申し込みをした母親から「勇気を出して来てよかった!」との言葉も聞かれるなど、新たな場所に参加するまでには、時間がかかることが伺えた。また、「迷惑かけてごめんなさいといった言葉は、イベント終了後にはあえて言わずに、楽しい思い出を家庭に持って帰ってくださいね」と言葉をかけると、母親が安心し涙を流す場面も多くみられた。両親や家族の抑うつ軽減とソーシャルサポート体制作りを目的とした交流の場が、発達障がい児療育の現場に並行して設置されることが望まれる。そして、この事業を行うことでみえるであろう、両親と家族に向けた精神的ケアとソーシャルサポート支援が、より良い子どもの育ちに繋がっていくことを発信し、子育ての環境を整える支援の重要性を啓発できる場となることが望まれる。
よって、当団体としては、発達障がい児の家族の交流の場(サロン)を創設する。継続するうえでは、財源を確保し、運営することが最重要である。申請事業を継続していく財政的な基盤と連携の基盤を構築するために、当団体に相談支援事業所を開所し、相談支援事業所の事業の一環として継続していく。地域の障害児支援事業所だけではなく、行政や保健センター、療育施設、武豊町子育て協働ネットワーク、放課後デイ事業所連絡会と連携していく。その事業を行うことにより、地域において発達障がいに関する相談窓口の一つとなっていければと思う。