申請事業名:外国人の若者のキャリア支援事業(しゃべりば@とよはし)
申請団体名:NPO法人フロンティアとよはし
豊橋市立豊橋高等学校での外国人生徒キャリア教育事業の様子
(全校で100名以上の外国人生徒が在籍する定時制高等学校)
【深掘りしたい地域や社会の課題】
課題を象徴するあいちの数字:愛知県の平成26年度の外国人高校生生徒数1,057名
豊橋市内の定時制高等学校の卒業率は日本人が95%に対して外国人生徒は75%程度
外国人にルーツのある子どもたちの保護者は、自営の仕事や正社員で働いている人たちもいますが、まだ多くの人は不安定な派遣と言う働き方をしています。平成26年10月末現在、愛知県の外国人労働者は84,579人で、そのうちの33.1%にあたる27,984人が派遣・請負労働者となっています。親は自分の仕事の範囲でしか子どもに情報を与えることができません。また、子どもたちは、親の仕事しか見たことがなく、他の仕事に関しての知識がほとんどありません。これは日本で生まれた子どもたちでもあまり変わりはありません。さらに、言葉の問題や経済的な状況から学習環境に恵まれず、日本語や学力に問題があるため、就職や進学の際に日本人の子どもたちよりも選べる範囲が狭くなったり、せっかくがんばって勉強してチャンスを得たのに、外国人だということで進学や就職の際に日本人と違う扱いを受けることもあります。国籍に関係なく、時には同じ夢を追い、同じ目標に向けて進んでいける仕組みが出来上がっていないことが大きな原因であると思います。これでは、自分の未来に向かって頑張れと言われても、夢のもてない現状の中でどうやって頑張ればいいのでしょうか。
【課題の当事者】
(1)性別:男/年齢:16歳/家族構成:母・弟・妹/性格:明るく社交的、まじめで物事を前向きに考えられる/生活シーン:高校へ入学してからは中学校時代よりもまじめに学習に取り組み、部活動と勉強を両立させるために日々努力している。母子家庭で、母親は派遣で働いており、生活は不安定である。本人も母を助けるためにアルバイトをし、ともに生計を支えている。将来は通訳になりたいと思っているが、今の家庭経済状況や本人の学力では希望を叶えるのは厳しいと思われる。しかし、通訳になると言う目標を達成のために今できることを精一杯頑張っている。/総数:約100人(豊橋市)
【課題の原因の仮説】
1. 日本人側の理解不足
今高校3年により下の外国人の子どもたちは日本生まれの割合が非常に高く、日本の文化習慣、ルールやマナーを理解している子どもたちが大半なのですが、未だにニューカマーとして入ってきた当時の外国人のイメージで見られてしまうことが多く、なかなか理解されていないのが実情です。
2. 就職や進学など関する情報源が乏しい
保護者の日本語能力が不足していることにより、情報源が限られてしまうため、日本の学校のシステム、高校入試に関することやその先の進学や就職に関して情報が不足しています。また、高校に関する情報や入試情報などが口コミで間違って伝わってしまったり、学校の保護者会で先生と保護者が通訳を介して話をした際に、得た知識を誤解したまま他の人に伝えてしまうことも少なくありません。本当に知るべき情報がなかなか行き届いていないのが現状です。
3. ロールモデルとなる先輩の経験に触れる機会が少ない
県立高校や大学、専門学校など自分の第1希望の学校へと進学を果たした先輩や正社員で就職できた先輩たちが徐々に増えているのにも関わらずそういう先輩たちの経験談を聞く機会がほとんどありません。豊橋市では年に一度多文化共生・国際課が「先輩の話を聞く」という事業を行い、外国人大学生と外国人中学生との車座集会を行っていますが、市内の外国人が多く在学する4校から5校のみでの実施で、市内すべての外国人中学生が参加するのは難しい状況です。また、高校での実施は時間の制約やロールモデルに触れることの重要性を十分に理解されないため、受け入れる高校は皆無に等しい状況です。