【深掘りしたい地域や社会の課題】NPO法人Paka Paka

申請事業名:地域と協働した発達障がい児の家族支援を考える 〜精神的ケアとソーシャルサポートを目的としたサロンの創設〜
申請団体名:NPO法人Paka Paka
pakapaka写真

※当団体事務局長と二人の子どもの写真である。この写真を撮ったのは約5年前。現在は、特別支援学校小学部に通う発達障がいを持つ長男と、保育園年長の次男。次男の1歳の誕生日に撮ったものである。この時の長男は多動で、一緒に歩くことは困難であった。夫婦とも県外出身であり、祖父母もいない状況での子育てで手が回らず、次男をおんぶして、長男をベビーカーに乗せての移動でないとどこにも行けない時期であった。また、長男は言葉が遅かったことで、定型発達の子どもとの発達の差から、子育てサークルや支援センターに行くことも母親自身がつらくなり、誰にも相談できずに孤立していた時期であった。この日から約半年後に療育施設に通園を開始したが、その半年間が最も孤独な時期であった。先行きの不安と、自分を責め続ける毎日から心から笑うこともできなかったため、母親の笑顔が引きつっている。このころの写真はこの一枚のみである。この時期に安心して相談できる場所があったなら・・という想いが、当団体の家族支援活動の原点となっている。

【深掘りしたい地域や社会の課題】
・知多南部(武豊・美浜・南知多)での、発達障がい児の親が抱える不安はどういったものであるか。
・知多南部(武豊・美浜・南知多)の障害児支援事業所スタッフと、発達障がい児の家族が、発達障がい児の親・家族対象の精神的ケアとソーシャルサポートを目的とした交流の場をどのぐらい必要としているか。

日本発達障害福祉連盟の調査(2008)でも、発達障がい児を持つ親にはうつ病あるいはうつ状態が多く、同連盟は親がうつ状態になると子どもにとっても不適切な養育状況になりやすいことを指摘している。「発達障がい児をもつ母親の抑うつに関連する要因の研究(道原・岩元(2012))では、母親が就労していない場合、尚且つ専門機関からの「子どもに関する情報提供」や「日常の対応方法に関する情報提供」のサポートが少ない母親は、そうでない母親よりも抑うつ傾向が高いということを報告している。発達障がい児の療育の必要性が重要視されるのであれば、それと同じぐらいその家族を支えていく体制作りが、現代の社会には必要不可欠なものなのである。現に、平成26年7月、厚生労働省「障害児支援の在り方検討会」において、「家族支援の充実」が記載されている。その内容は2点に分けられ、「保護者の子どもの育ちを支える力の向上」としては、発達障がい児について育てにくさと対応方法を学ぶペアレントトレーニングの実施が検討されている。もう一つは、「精神面でのケア・カウンセリング等の支援の充実」として、家族が子どもの障がいについて前向きにとらえられるように、家族がストレスや悩みを抱えている場合は、特に精神面でのケア・カウンセリングを充実させ、専門機関へつなげることが必要であると記載された。

北部の地域は名古屋市に隣接しており、療育についての情報は得られやすいが、知多南部(武豊・美浜・南知多)の郊外では、専門機関もここ2年で開設されるなど、地域住民の療育に対する認識も低い。よって、上記2点を中心に調査する必要がある。