【深掘りしたい地域や社会の課題】NPO法人日本冒険教育協会

申請事業名:不登校の子どもたちのイキイキ自然体験活動プロジェクト
申請団体名:NPO法人日本冒険教育協会
冒険写真

※人とのコミュニケーション能力が低く、他者と関わる機会が少ないと、最終的に「引きこもり」になってしまう可能性が高いと考えられる。

【深掘りしたい地域や社会の課題】
当NPO法人日本冒険教育協会は、自然体験活動を通して子どもたちの心のたくましさや他者に対する思いやりや協力など、協調性や社会性を育むことを目的として運営され、これまで実績を上げてきた。そうした中、文部科学省は、平成18年度に「不登校に関する実態調査」を行い、その5年後に中学校第3学年に在籍し、学校基本調査において不登校として計上された者(41,043人)を対象として調査を行い、平成23年度に「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」を発表した。
その調査結果に対し、NHK解説委員室の教育・文化担当の早川信夫氏は、「不登校の子どもたちは、人間関係づくりが苦手である。」ということを課題の1つに取り上げている。
『人間関係づくりが苦手』とは、文部科学省のデータにおいて、「受験や仕事などで苦労した。」が平成18年度より大幅に減っていたものの、中学校卒業後「他人との関わりに不安を感じることがあった。」と答える人が増加し、75%と最多であり、人づき合いが苦手な若者にとって人との関わりが重くのしかかっていることを示している。
また、『中学校3年生の時にあればいいと思ったこと』では「こころの悩みについての指導33%」に並び「人とのつき合い方の指導32%」という結果が出ていた。不登校の子どもは、元々人づき合いが苦手なことに加え、学校を休んでしまい人とつき合う場面がなくなってしまったことで、苦手な人づき合いを克服する機会がなかったことを反映している。
そして、愛知県での不登校の現状を見てみると、平成25年度小・中学生636,336人中8,524人が不登校であり、1.3%が学校へ通っていない。地域別に見ると、東海市では、10,304人中152人が不登校(1.5%)、半田市では10,676人中154人が不登校(1.4%)である。
そうした現状に対処する機関として、教育委員会が運営する適応指導教室は、県内63施設ある。そのうち東海市に2施設、半田市に1施設ある。そしてフリースクールは、NPO団体などが運営しているため東海市での数は不明であり、半田市では1つあることが現在分かっている。
また、社会教育の立場からのアプローチとして、少年自然の家が大学と提携し不登校児の自然体験活動を主催し、調査研究している。その結果、「①この事業で体験したプログラムが「良かった」や「楽しかった」とプラスの経験として認識されている、②活動を他の参加者と共有することで、他者との間に仲間意識を生じさせている、③参加者同士、彼らの中に同質性を見出すことができる状況である、④参加時の不安や心配はあるものの終了時にはその感覚を凌駕する達成感や楽しさが存在する。」といった効果が得られている。
そこで、当団体もこれまでの自然体験活動の実績から、地域の適応指導教室やフリースクールと連携する中で不登校児童・生徒に何かしらの良い影響を及ぼすことができないかと考えた。

<参考資料>
1.「不登校に関する実態調査」~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~
2.NHK解説アーカイブス「不登校追跡調査から見えてきたのは」
3.「NHK解説委員室」とはニュースの意味や背景・今後の課題を専門的な視点から読み解き、分かりやすく伝えている。また、解説委員は政治・経済・社会・科学文化・国際の各部の記者や番組のディレクター、アナウンサーとして一線で活躍し、それぞれの分野で専門性を培ってきたスペシャリストであり、日々、それぞれの担当分野の情報収集、研究を重ね、専門性を磨いている。解説委員の役割は、時々刻々と世界各地で起きている出来事を、独自の視点で取り上げて的確に分析し、番組に出演してその意味や背景、課題を読み解き、視聴者にわかりやすく伝えている。
4.「年間継続事業としての不登校キャンプの効果‐ふりかえりとしての体験スピーチ会からの検討‐」
福岡大学スポーツ科学部 築山泰典・藤井雅人 2007