労働人口が減少する中、未就労の若者の増加が社会課題となっています。内閣府によると、全国の未就労者に占める若年無業者(15歳から34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)の数は2002年より増加傾向が現れ、2012年現在で63万人に達しています。愛知県においては29,000人います。

今、なぜ働くことをあきらめかけている人が増えているのでしょう。原因の一つとして、人間関係を上手に築けず、失敗体験を抱えていることが挙げられます。厚生労働省の調査で、未就労の若者の64%が「人と話すのが不得意」と答えており、コミュニケーションへの苦手意識が表れています。このようなコミュニケーション障がいに悩む人の中には、大人の発達障がいの人が潜在していることがわかってきました。明確な診断を受ければ、公的な制度による支援が受けられます。しかし、個々の特性によって解決策が多様なことから、個別の支援が求められるなど、他の障がいと比べて福祉の分野でも支援策が遅れているのが現状です。

たとえ就労支援にたどり着いたとしても、その障がい特性から、定期的に訓練に通うことが難しい場合や極端に苦手意識が高いことで、一般企業では理解が得られにくい場合もあります。また、「見えない障がい」ゆえに、周囲も本人も困難を抱えている根本的要因に気づけなかったり、気づいたとしても、「障がい」へのマイナスなイメージから福祉的支援への一歩を踏み出せなかったりすることで、制度にたどりつけない人も潜在しています。

つまり、「障がい」といった一面的な制度だけでは、十分な支援を受けられないまま働くことをあきらめかけている人もいるのです。適切な自己理解や社会の理解が得られれば、ある特化した部分においては飛び抜けた能力を発揮できる人もいます。しかし、制度からこぼれおちてしまうことによって引きこもりになったり、2次障がいで心が病んでしまったりする場合があります。

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