【深掘りしたい地域や社会の課題】認定NPO法人名古屋ろう国際センター

申請事業名:ろう児家庭環境調査
申請団体名:認定NPO法人名古屋ろう国際センター

NHK 「ろうを生きる 難聴を生きる」1月14日(土)放送より
ろう国際写真1

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昔は口話教育が盛んだったこともあり、手話で勉強をすることがありませんでした。そのため、今のろう者は日本語が苦手な人が多くいます。子供が生まれても子供が聴者の場合、言葉が通じず苦労している人が多いです。第一言語を学ぶこと、第一言語から第二言語への橋渡しが大事になります。

【深掘りしたい課題】
課題を象徴するあいちの数字:愛知県内ろう学校4校の聴覚障害児童数364人(※1)のうち、聞こえる親から生まれた児童327人(※2)

耳が聞こえる私たちは生まれてから日本語を無意識に聞いています。無意識に日本語を聞いて日本で育った私たちは話す言葉も書く言葉も日本語で第一言語が日本語になります。
耳が聞こえない子はどうでしょうか。日本語を聞くことができないので日本語を自然に身に着けるのは難しいですが、耳が聞こえない子には、手話があります。手で話をします。耳が聞こえない子の第一言語は手話になります。
愛知県のろう学校小学部には364人の生徒がいます。耳が聞こえない子の90%は聞こえるお母さん、お父さんから生まれるので364人のうち327人のお母さん、お父さんは耳が聞こえます。
耳が聞こえるお母さん、お父さんはと耳が聞こえない子は第一言語が違います。日常的に使う言葉が違います。言葉が通じないと会話が減り、お互いの気持ちを十分に伝えあうことが難しくなり、同じ家の中にいても耳が聞こえない子はとても孤独を感じてしまいます。
小さいころから第一言語の力を伸ばすことの重要性は、研究などで明らかになっています。小さい時から自分の言語を使う機会が少ないと、言語面、情緒面の発達などに影響を及ぼします。お母さんやお父さんとの家庭環境が大きな影響を与えます。
お母さん、お父さんがどのように家庭でろう児と接しているのか、何を必要としているのかが明らかにすることが課題です。
※1 平成28年度愛知県ろう学校児童数(小学部のみ)。
※2 ※1に聞こえる親から聞こえない子が生まれる確率90%をかけた推計。

【課題の当事者】
性別:女/年齢:40歳/家族構成:夫、長男(8歳、聴者)、長女(2歳、ろう児)/性格:各種/生活シーン:耳が聞こえない娘が生まれるまで、ろう者と会ったこともなく手話も習ったこともない。ろう児との接し方がわからず、戸惑っている。自分なりに聴覚障害のことは勉強しているが誰に何を相談していいかもわからないままでいる。/総数:327人(愛知県)

【課題が生じている原因の仮説】
聞こえない子たちには手話が必要だということは、研究発表などで、知られることが多くなってきました。東京には手話ですべての授業を行う私立の学校も誕生しました。
しかし、手話が必要だとわかっているお母さん、お父さんでも手話をどこで習っていいのかわからなかったり、手話を覚える自信がなかったりします。
また、手話の重要性がお母さん、お父さんの耳にまで届いていない可能性もあります。
情報が届いていないことや重要性が今ひとつ理解しきれていないことが原因と考えられます。